哀れな神の、少女時代の記憶

あの時は、そう、雷が鳴り響いていた時だ。



いつものように、母親に虐げられた私は、家を飛び出した。


そして、とある公園に行ったのだ。



ああ、あの公園の、なんと殺風景なことか。


だが私はその何もない所が落ち着いた。
私は泣いた。なぜ私が虐げられるのか、なぜ母親が私を嫌うのか、
わからなかった。わからなかった、のだ。



私、は生きていてはいけないのだろうか、と…そう、思っていた。



母親が心配したフリをして探しに来た、私には分かる。




私はとっさに逃げ出した。
また殴る気だ、また、また………




その時に、あの子が私を匿ってくれたのだったな。
エルア殿に良く、似ていたな。




………………………………………………………







ザアアアアアアァァ……………


「っく、うぅ、っは、はぁッ、げほっ!…」




(お母さんがくる、嫌だ、帰りたくない!!)




『お前が、お前が生まれなければー…!!』




「なんでッ、どうし、て……ッ!!?」


グイッ!


「いやっ!離してッ!嫌だ…殴らないで……くだ、さい…」


「大丈夫、殴らないよ、第一、私が殴る人に見えるかな?」


女の子の、声だ。


「…あ………、い、いいえ……」


私と、同年代位か、一つ上か。


「そんなに怯えないで、さ、こっちだよ!」
「えっ、何………?」
一瞬、母親の元に戻されるのかと警戒したが、それは違った。


「私の家においでよ!」
と、嬉しい事だった。


それから一度母親がここに来たが、私はいない事にした。
母親は、私に対する文句をブツブツ行っていたそうだ。


「………」
「あなた、何歳?」
「…………13」
「そっか!私より一個年下か!」
「………」
「私は、……っていうの、あなたは?」
「…………。」
「そっか!いい名前!」


名前は父親が付けてくれたのだったな。
ああ、唯一の味方だった、のに。



「お父…さん」



…………………………………………………………


あたしは雷ちゃんの過去を全部知ってる。
皆知ってる。だって、あたし達は………





………



あの子の母親が、正気ではなかったのだ。
あの子は見た、父親を殺した母親を。
あの子は見た、母親の顔が狂気に染まっていた事を。


「…………ラ……………………イ………ア……ッ……」


あたしは知ってるの、雷ちゃんの、本当の名前。
アティちんやリーンちんは知らない、あの子の名前。


『ライア』…あの子の名前。

あの時『ライア』と言う少女を匿ったのはあたし。


あの時、彼女に害を与える物から守ろうと決めた。


だけど、天は無情な事に、あたしは、『ライア』ちんを、


誰よりも儚い、脆い、少女を、置いて逝ったんだ



確か、『ライア』ちんと、散歩したんだっけ。

それで、途中で殺意を感じて、『ライア』ちんの方を向いたら、
あの時訪問してた母親が、『ライア』ちんを、殺そうと…してた。



それはあたしが『ライア』ちんを匿って、4年後。


………………


「うんうん、天気いいね、ライアちん!!」
「そうだな、よく晴れてるな…」
「およ、そんなクールにならない!いつものライアちんはどうしたー?」
「ふふ、うん…わかった、でも、これは癖なんだよね…」
「笑顔もーらいっ!!」
カシャッ
「〜ッ!!!?エ、エルアちゃん!?」
「ふふん、ライアちんの可愛い笑顔はもらった!家宝だぜ☆」
「………!!」
「あっはははは!………ん?」


鋭い殺意だねぇ………ッ、まさかっ!!


「ライアちん!!危ないッ!!!」
「えっ………あ………!」
あたしはとっさにライアちんをかばった。
「エルアちゃんっ!」
ドンッ


あたしを、轢いた音がした


「っあ、な、なん、で…エ、ルアちゃ…っ」
ライアちん、ごめんね…また、そんな顔させちった…
ああ、笑顔が可愛い子なのに、泣かせちゃダメなのに、
でも、2年間は、心からの、笑顔がみられた。


笑って、一緒に、料理やら、洗濯に、ゲームとか、した のに。


あ、母親がライアちんを、連れて行こうとして、る。


「ッ…ライア、ちん…の、お母、さん…ッ!!」


あたしは、最期に、


「ライアちんは、あたしの、妹、なんだ…からね…!」
「傷付けたらッ、お前を、殺しに行ってやる……!」


どす黒い殺意と共に、母親に行ってやった。
母親はビクッとしてた。ザマァみろ。


そして




「ライアちん……一緒に居れて、本当に楽しかった。
ライアちんの、心からの、笑顔とか、いっぱい見れたよ。
だからっ、そんな顔…しないで、ね?
笑ってよ、笑ったライアちん、あたし大好きだから、さ……
でもさ、もっと……ライアちんと…一緒、に……いたか…っ…た……」
「…ッ……エルアちゃんッ……!!」

匿ったあの日から、あたしは守ると誓った。


でも、ライアちんの、そばにいられなくなった時は、悔しかった、な




「……死んだようね。さぁ、帰りましょうねぇ?ラ イ ア ?」


やめなさいよ、あたしが言った事もう忘れた?


「い、嫌だ、私は…此処に…ッ」


ああ、可哀想に、こんなに震えて…!


バシィッ!


乾いた、音がした


「何度言えば分かるのかしら。お前に拒否権なんてありはしないよ」
「…………っ」


や め ろ




ビュゥアアアアアアァッ!!


あたしが殺気を出すと、連動して吹く風。


このまま殺してやりたい、とさえ思った。



でも結局、ライアちんは連れていかれた。


ああ、心配だ。




そしてある夜遅く。




ライアちんが、雷に貫かれた。



なんであの子だけあんな、酷い仕打ちを受けなきゃならないのさ。




そして、ここから『ライア』ちんが、雷ちゃんになった。



あたしの事は、覚えてなくとも、『懐かしい』、と言った。


ああ、今まで、よく頑張ったね。


もう、苦しい思いをしなくていいんだよ。




感情も、思い出していこうね。



でも、今は、雷神『ライア』に、風の祝福を。




ゆっくり、休んでね。





今度こそ。この風神エルアが、あなたを守るから。








……………………………


何このごちゃごちゃな小説もどき…(笑)