かつて忌み嫌われていた魔女の、話

これは私、春沢美月(当時11歳)の話…



大人達から、少し魔法や言語が使え、読めたりするから、と、
忌み嫌われている。


確かに魔法は古代にしか無い、所詮は夢物語と捉えられている


でも、私はその魔法が使える。
動物と話も出来る。


だから、魔女、と、罵られた。




魔法なんて、使うつもりない、のに
使うとしても、日常的な事に使うのに、




決して攻撃なんかに、使わないのに、






…今日も見張りが屋敷の周りをうろついている。


外に出ようとすれば止められる。
自室から出られないようにしている。
そんなの、魔法で一撃だけど、やらない。


でも、皆私が魔法を使わない事に安心しつつ、内心怯えてる。




知ってる、大人達の中には、私を心配してる人がいるのを、
そして、見張りに色々言っているのを。



そしてその努力が実って、私は一週間に一度、
外に出られるようになった。




森にいれば、小さな子供達や動物達がよってくる。


子供達は、私が魔女だと言っても、普通に接してくれる。
親から、魔女は悪い魔女、と聞かされても、普通に。


悪い魔女なのに、全然悪くないよ、お母さんとお父さんは、
何を言ってるの?魔法って凄いじゃないの?



……なんて、両親に疑問をぶつける事もあった。






子供達は度々遊びに来た。
外にも行くらしく、良くお土産なども貰う。









でも、ある日から、その子供達は来なくなった。






しかも見張りもおらず、何事かと外を見てみれば、





………軍人が、村を焼き払い、村人を次々と殺していった。


多分子供達はアレに殺られたのだろうか、





「…何を、している」



例え忌み嫌われていても、私はこの村が大事だった、




ああ、死んでいく、優しかった人も、子供も、



「…此処は私のテリトリー、踏み入る許可は…与えてない」



例え、また、嫌われようと、ただ、ただ……



「…『ウンディーネ』!!」




この村を、守りたかった









撤退した軍人は多分私の事を知らなかっただろう、当然だ。


でも、上の奴に報告するであろうな、









負傷者の傷を回復、あの子供達は、やはり軍人に襲われ、
しばらく動けない状況にあった。幸い軽傷だが。




それからのこと、私の生活が大きく変わった。


村人が感謝やお礼に屋敷に来たり、見張りもいなくなり、
自ら進んで使用人にして下さい発言したり
(ずっと前からだが、なかなか言い出せなかったらしい。)
外にも行けるようになり、
村人に暖かく迎えて貰えた。




今では私はこの村…いや、街の救世主扱いで、



もう、神様扱いだ。


小さな村も、私が大きく、住みやすいようにして、
今では外の人々が引っ越してくる。


私の噂は広まり、一目見てみようと観光に来る人も多い。







ああ、最近、私より年上の、悠羅(ゆうら)と言う、
綺麗な、水色の髪の、女性が、外からこの街に来て、
私にお目通りをお願いしてきて、開口一番、


「私を、使用人として雇って下さりませんか?」


別に断る理由など無かったので雇った。



それから、使用人の服(メイド服って言うらしい)に着替えて、

他の使用人達と共に作業開始。


彼女の腕は、他の使用人達にも引けを取らないくらい凄かった。



そして、彼女は使用人のリーダー的存在になった。



とはいえ、彼女達は普通にあれこれ話し、
私と話をしたりと何時も通りの自由だった。


でも違うところもある。


私が一人でいこうとすると、悠羅さんがついてくる。
というか、いつも一緒だ。



この後不思議に思って、聞いてみたら、
「お嬢様に、絶対の忠誠を誓ったからですわ」、と言われた。


つまりあの時から彼女の中の絶対の忠誠は始まったわけだ。




………え?悠羅さんの年?


……今私が13だから…確か18かと…

あ、雇ったのはこの二年前くらいです。








現在、悠羅さんも連れて街の様子を見たりたまに外にいったり
気ままな生活をしてたりする。






たまにあの時の軍人が私を殺しに来たりするが…






「魔女め……殺す!!」


「お嬢様に何か用でしょうか?」


「あの魔女は我等の計画を全て無にしたのだ!!許さん!」


「…その時お嬢様に、傷でも付けました?」


「頬に我等の銃弾がかすったが、その程度…」


「あら…その程度とは酷いですわ、」


「…何者だ、貴様………!」


「私はただのお嬢様の使用人ですわ」


ザクッ








悠羅さんが軍人を瀕死状態にした事でこなくなった。



正直、これを聞かされた時、ちょっと怖かった。







そんなこんなで、平和だ。




不謹慎かもしれないが、あの軍人が来なかったら、
私は悠羅さんに会えてなかったかも知れない。



村人も優しくなかったかもしれない。



ちょっと感謝します。








さて、今日も様子を見にいこうか。






終わり



つまりは嫌われ→和解→救世主です。
生まれてからずっと忌み嫌われて来た
美月ちゃんですが、悪い軍人のおかげで救世主(神)扱い!


そして外から来た悠羅(ゆうら)さんとの出会い!


…彼女絶対、咲夜さん化しそうだな(笑)


終われ