とある青年の、話
少し暗いです、注意!!
目が覚めて、目が覚めているはずなのに、とても、暗い、
ただ、一人ぼっちな闇だった。
俺は、母親と父親の、中が凄く悪いのを、知っていた、
姉や兄に話そうと思っても、言ってしまえば
母親と父親に殺されるだろうな。
姉や兄は、何も知らない、
俺が虐待されてる事実も、夫婦の仲が悪いのも。
耐えるしか、なかったさ。
兄と姉に心配かけさせたくない、そして殺されるのも嫌だ、
ひたすら耐えた。
小学校の時だったか、親が俺に暴力を振るったのは、
その時の俺は反抗期で、少しだけ、親の言う事に反発した、
結果、俺は親の怒りを買ってしまい、今に至る。
それは高校生になろうと、変わる事はなかった。
ちなみにこれはどうでもいいが、中学の頃に金髪に染めて
注意を受けた時、親は何も言わなかった。
酷くどうでもよさそうだったんだ
普通、注意くらいするのにな。
なんでこうなったんだろうな。
そしていつものように殴られ蹴られていたところに、
母親が包丁を持ってきた、
何をするのか、俺はすぐ分かった、
もう、俺を殺す気だ、殺される…!
勿論抵抗したさ、でもな、駄目なんだよ、
抵抗しても、母親が馬鹿力持ちでさ、俺なんてすぐ
ねじ伏せられる訳。
それで、目の前に、 包 丁 が
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、泣きながら親を止めている、
姉と兄が、映ったんだ、
ごめん、奈々姉、勇兄………
結局、心配かけさせて、俺って、さ、本当に……馬………鹿………
『聖也あああああぁぁ!!』
ー…高校の頃、死のうと思った事がある。
虐待されまくりで学校不登校、嫌気がさして、
窓から飛び降りようとした時にな、
親が、必死に止めてきたんだ、
今更何、と思ったと同時に、目が覚めたのか?とも思った。
違う、違う違う違う違う違う、
ストレスの解消に最適な奴、つまり俺は、
そのストレス解消に必要な、だけなんだ。
子供として、あんたらの子供として、俺は見られてないんだ。
その時から俺は生きる気力がなくなったんだっけ。
…………唐突に思う、俺って、死んだの?
真っ暗闇だぜ?誰も、俺一人しか、いねぇよ。
いっそこのまま浸っていたい。
暴力を受けずに済むなら、このままがいいよな。
嬉しくて涙出てきたぜ……
……………違う、本当はな、嬉しくないんだよ、
俺、あんな暴力振るう親でも、死んでほしいなんて思った事は、
一度もないんだ、死にたいとは思っても、な。
暴力振るわれようと、俺は親が好きだ。
母親が俺を必死で産んでくれたのには本当に感謝している。
それが、こんな結末になろうと。
冬樹、悪い、………最期くらい、お前と話、したかったなぁ、
お前の話、俺、結構好きだったんだぜ?
色々、バカやって、あのおばちゃんの特製ミカンとか果物食べてよ、
色んな話したかったなぁ、
お前は、俺の人生で最高の、世界で一番の、大親友だよ。
もう、自慢できるくらいに。
(奈々姉や勇兄には既に自慢済み)
時々、俺って素直じゃねえから、さ、ちょっと意地を張る所あるけど、
それでも付き合ってくれるのはお前だけだよ。
なあ、冬樹ー…………………
………………………………………………………
聖也は俺の世界で一番の大親友だ。
その聖也とは、小学校の時に出会った。
黒い髪の、俺より少し背が低い子だった。
それは高校の今でも変わらない。
そいつは明るい、いい奴だった。
でも小学校六年生になり、聖也は暗い性格になった。
クラスの皆が尋ねると、聖也は、親が、親が、
と言ったきり話さない。
この怯えは尋常じゃなかった。
クラスの皆で協力して励ました。
これから、聖也と遊びに行く事が多くなった。
そして中学生、聖也は髪を黒から金髪に染めた。
最初はちょっとびっくりしたが、新しい気分転換なのだろう、
俺は受け止めた。まぁ、注意も忘れないけど。
そして俺は聖也を連れて遊びに行く。
小学校の時の山は変わらないのでそこで話をする。
担任の教師が若い美人だった、とか、
やっぱり校長はハゲ頭だった、とか、
そういう他愛のない話をした。
やがて、聖也から、「やっぱお前は俺の大親友だよ」と言われた。
聖也を勇気づけようとした努力が実り、
聖也に元の明るい、いい奴に戻った。
でも、やはり虐待のトラウマは拭えないのか、
俺が肩を叩こうと触れると、ビクッと震える。
力になれないのが、伝わってくる。
ああ、俺はなんて無力なんだ。
「それでも俺は冬樹を信頼してるぜ?」と、言われるが、
普段少しばかり素直じゃない聖也に気を使わせたのが凄く悔しかった。
俺がもっと強ければ、お前を虐待から解放できたのに、
ああ、無力さに腹が立つ。
高校。
ここから聖也が不登校になりつつあった。
理由は言うまでもない。
小学校の頃から一緒だった奴らも気づいている。
そして、ある日の事、小学校の頃から一緒だった奴らの一人が、
聖也の家に大人数で押しかけよう、な作戦を立てた。
そいつの名前は龍樹(たつき)、茶髪の頭が良い奴だ。
まあ、聖也と同じくらい。
ちなみにモテる。それなりにモテる。
そしてその作戦を実行した……。
あの時もっと早くきていれば、
聖也は意識不明にならなくてすんだのに!!
そう、中に入ってみれば、見えるのは、
母親に押し倒されたのか、意識を失っている聖也がいた。
ここの母親は力が強いと噂だった。
多分もの凄い力なのだろう、現に床がひしゃげている。
必死で母親を押さえている奈々さんと勇樹さんがいた。
父親は巻き込まれて気を失っている。
ここで、俺は初めて、心から聖也の親を憎んだ。
なんで聖也だけが、なんで、なんで…!
…その後聖也は病院に急いで運ばれた。
ああ、まだ死んでほしくない、お前と俺とで旅に出ようって、
約束が果たせていない。
聖也………、
…………………………………………………………………
「冬樹、なんでいねえんだよ、」
「早く来いよ、お前の話が聞きたい、」
ああ、分かってるのに、
「……奈々姉、勇兄、冬樹………」
「…父さん、母さん……………」
俺は愚かにも、家族や親友を、探した。
いるはず、ないんだ。
『…………!!……!』
声が聞こえる。
『……や、………せいや、…聖也!!』
それは、ずっと探していた大親友の、声がした。
「、ふゆ、き、冬樹、冬樹ぃー!」
よく見ると奈々姉や勇兄もいる。
「奈々姉ー!勇兄ー!」
その瞬間、視界に色が戻った。
「…………」
「!!ねぇ!勇樹!聖也!起きたわ!!」
「!!マジ!?聖也!僕が分かるかい!?」
「奈々姉…勇兄……?」
「「当たり!!」」
「いや、本当に心配したよ、痛い所ない?大丈夫?」
「どこか悪いならナースコール押そうか?」
「あぁ…俺は大丈夫、それより…冬樹は…」
「冬樹君なら…ちょっと呼んでくるわ」
「姉さん、いってらっしゃい」
「奈々姉、いってらっしゃい」
「はいよー☆お姉さん頑張っちゃうわよー!」
「相変わらずハイテンション…」
「あれが姉さんだからね。…聖也、」
「……何、」
「たまには大親友だけじゃなくて、僕らにも話して欲しいな、」
「……………」
「その気持ちは分かる。でも、僕らは兄弟で、家族だ。
だから、僕らは兄、姉として、君に頼って欲しいんだ。」
「………………分かったよ」
「おっまたせ、連れてきたぜー?」
「聖也!」
「よう、冬樹」
「ああ、良かったー!!」
「えっと……ああ、お前、龍樹か?」
「おお、よくぞ覚えてくれたぁ!!うおぉ聖也く〜ん!」
「あらあら、うふふふふふ」
「あはは、良い友達を持ったね、聖也」
「…あー、うー、嬉しくなんか……ない…ぜ?」
「まぁまぁ、そう照れるな聖也君、」
「そうだぞ、照れるな聖也!」
「いや、照れてねえよ……」
この後、母と父は長年の夢から覚めたかのように、
優しい母と父に戻った。
どうやら、一種の催眠状態にかかっていたらしく、
記憶が曖昧らしい。
でも、俺を虐待してたのは認め、土下座までやってきた。
母なんかは勢いよく土下座した為土の中に埋まっていた。
そうして和解し、俺は漸く幸せになれた。
そして高校生、二年の夏休み…
「おーい、いこうぜ聖也!」
「おう、ちょっとまってろよー!」
「早く早く、聖也君おいてっちゃうぜ?」
「は?やめろよそんな冗談」
「ですよねー!!」
今日から、旅行に出かける。無論、親友達とで。
ああ、そういえば、あの時駆けつけたのは、
どうやら二人だけではなかった様子。
唯香(ゆいか)という女の子と藍(あい)という女の子がいたそうだ。
中原唯香と緑野藍。
中原唯香はちょっとおとなしめな子で、緑野藍は活発な明るい子。
狩村龍樹はお調子者。運動得意で頭も良い。モテる奴。
そして俺の大親友、夜坂冬樹!
お人好しで誰にでも優しい奴。
頭は………うん、よくない。ちょいとお馬鹿。
俺は月島聖也、えーっと、よく不良っぽいけど面倒見が良いとか
言われる。
頭はまあまあ。ただちょっと運動が苦手。体は弱い方。
まあ、料理や裁縫には自信がある。
「聖也君、準備、できた…?」
「おう、いこうぜ!」
「よーし☆聖也君も準備万端だし、出発進行♪」
「「「「おー!」」」」
空は、絶好の晴れ日よりだった。
終わり。
新キャラ続々登場かいww
月島聖也くんが主人公です♪
この青年の友情は固いと思います^^
崩れなさそうだな(笑)
はい、グダグダですみません!!
それでは見てくれた方、有難うございましたー!!